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ワキタ×大裕

全国の仮設現場のお悩みを最新・独自のソリューションと現場力で解決する

  • 建機事業

2026年度には80兆円に達する見込みの建設投資額のうち、約65%を占める建築市場 (「一般財団法人建設経済研究所」調べ)。その現場を支える仮設業界は今、人手不足という大きな壁に直面している。ワキタと大裕が手を組み、この課題にどう挑むのか。両社のキーパーソンが語り合った。

株式会社ワキタ 執行役員 建機販売統括部 部長

阿部 浩一

大裕株式会社 代表取締役

飯田 浩二
仮設機材のレンタルは、建設現場を裏から支える重要な事業だ。足場や敷鉄板、支保工といった資材は、本設工事が終われば撤去され、センターに戻って検収・仕分け・整備を経て、再び次の現場へと送り出される。このサイクルを回すために、かつては多くの人手が必要だった。しかし今、業界は大きな転換点を迎えている。

仮設市場とは何か

飯田社長:仮設市場と言いますと、軽仮設※1と重仮設※2に大きく分かれます。あくまで構造物ではない。一時的に使う材料ということで、頻繁に出入りする仮設材をレンタルされているお客様が現場に貸し出し、本設が終わったら撤去してセンターへ戻るという繰り返しなんです。

※1 軽仮設とは:主に建築工事で使用され、人力での運搬・組立が可能な軽量な仮設資材。工事完了後は解体して再利用されることが多く、リース物件として長期にわたって保有・回転される傾向がある。

※2 重仮設とは:主に土木工事や大規模建築・地下工事で使用され、土圧・水圧・大型重機の荷重など大きな力を支えるための重量仮設資材。 鋼材を主体とし、設置には重機が必須となるケースが多い。

大裕株式会社 代表取締役

飯田 浩二

建設投資80兆円のうち土木が約28兆円、建築は約52兆円。(2026年見込。一般財団法人 建設経済研究所)ワキタ建機事業は土木に強みを持つ。部長の阿部はワキタが大裕をグループに迎えたことで、建築市場に本格参入したと語る。

阿部部長:我々の主力である土木と比べると、建築は建設投資の65%を占める非常に大きな市場です。そして、課題もたくさんある。人手不足、DX化、熱中症対策——伸びしろが当社の中で一番大きな分野ではないかと感じています。

株式会社ワキタ 執行役員 建機販売統括部 部長

阿部 浩一

人手不足が現場を変えている

飯田社長:大裕は60年以上にわたり、仮設業界の機械化提案を進めています。お世話になってきた当業界の課題は人手不足です。業界の高齢化は深刻であり、従来のやり方では人手が足りなくなる。人は人でしかできない仕事に注力する時代がまもなく訪れるのではないかと感じています。

大裕株式会社 代表取締役

飯田 浩二

センターでは、現場から戻ってきた仮設材を検収し、仕分けし、整備する作業が日々行われている。この作業を担う人材が不足すれば、レンタルの回転が滞り、事業そのものが立ち行かなくなる。

阿部部長:仮設業界のお客様の投資目線は「レンタル商品」そのものから「仮設整備機械」へ向いていると感じます。レンタル商品の素材の大部分は「鉄」であるため価値の変動が少なく、資源の有効活用の観点からも整備を重ねて長年利用できることにメリットがある。補助金申請などのノウハウを当社は保有しており、お客様の購入バリエーションも多彩にご用意が可能です。

株式会社ワキタ 執行役員 建機販売統括部 部長

阿部 浩一

大裕の強み——ワンストップのものづくり

大裕の強みは「ワンストップ」にある。

飯田社長:お客様のお困りごとを聞いて、それを機械化する、自動化する、情報化するというのが当社の強みです。出発点は鉄工所で、そこから産業機械を作る請負をやっていました。昭和58年頃から、創業者が現場の困りごとを聞いて仮設の整備機械を始めたんです。機械を創造して作り上げる。自動制御でお客様の思うように動かして、仕分けしたり判別したりしていく。

大裕株式会社 代表取締役

飯田 浩二

設計、製造、電気制御、メンテナンス——すべてを自社で完結できることが大裕の競争優位だ。

阿部部長:他社は、「機械」「電気制御」「ソフト」などの専門分野の各担当が各々で集まり、3社4社で作り上げるんです。こういった際に例えば「メンテナンス」は各社専門外となり、専門外の会社が担当する場合が多い。当社はこれらすべてに専門家を有しており、ワンストップで1から10までできる。これが最大の強みです。

株式会社ワキタ 執行役員 建機販売統括部 部長

阿部 浩一

製販分離がもたらしたシナジー

ワキタと大裕がグループになったことで、「製販分離」という明確な役割分担が生まれた。

阿部部長:製造が大裕、販売がワキタ。大裕は販売をワキタに任せていただく代わりに、新たな製品を作ることに集中していただく。この棲み分けが機能しています。

株式会社ワキタ 執行役員 建機販売統括部 部長

阿部 浩一

飯田社長:一番は営業の平面展開力ですね。これが最大のシナジーです。物を作っている間にワキタが売ってくださる。売るものがなくなれば展開力を活かせない。だから当社は新しいものを作り続けないといけない。

大裕株式会社 代表取締役

飯田 浩二

現在はワキタの専属の営業部隊10名がお客様から課題をヒアリングし、それを大裕にフィードバックして製品開発に活かす体制ができている。

阿部部長:ワキタ側で増員した営業担当者が、大裕製品以外も当社に相談いただけるようになった。先日開催した、ワキタグループ最大の建設機械の展示会である『ジャンボフェア』には140社のメーカーが参加しました。来場いただきましたお客様からもご相談があり、商社として理想的な事業運営になってきていると思います。

株式会社ワキタ 執行役員 建機販売統括部 部長

阿部 浩一

AIが変える仮設現場の未来

大裕が今、力を入れているのがAI技術の活用だ。

飯田社長:仮設材というのは何百種類もあるんです。400、500と持っているお客様もいる。それが網カゴに入れられてバラバラに返ってくる。貸すときは綺麗に束ねて貸していますが、終わったらドサッと。これを仕分けして、本当に貸した種類と数があるのかを検収したい。それを画像AIで実現しようとしています。

大裕株式会社 代表取締役

飯田 浩二

もう一つの挑戦は「鉄板修正の自動化」だ。

飯田社長:敷鉄板という軟弱地盤の補強や段差解消のために工事現場で利用される重仮設のレンタル品があるんですが、現場へ出すと曲がって帰ってくる。ある程度真っ直ぐにして次へ出すんですが、この修正は職人技なんです。どこを押せばどう直るかという経験則が必要で、それができる人がどんどんいなくなっている。これを全部機械化、AIでできれば、置いただけで全部直ってしまう。

大裕株式会社 代表取締役

飯田 浩二

阿部部長:技術の伝承やコスト面の課題を解決し、レンタル資産の稼働率を向上させることができます。

株式会社ワキタ 執行役員 建機販売統括部 部長

阿部 浩一

センター無人化という夢

大裕が長年掲げているビジョンがある。

飯田社長:「仮設整備機器センターの運営の無人化」というのを、当社は昔からテーマに掲げています。フォークリフトも自動で人がいないセンター。整えられた仮設機械。トラックへ積む・下ろすも自動。こういった構想を夢に見て、課題解決に貢献する機械の開発を日夜続けております

大裕株式会社 代表取締役

飯田 浩二

阿部部長:我々もAI技術を研究し、フィジカルAIを活用した3D無人化センターのイメージを作ろうとしています。

株式会社ワキタ 執行役員 建機販売統括部 部長

阿部 浩一

飯田社長:要素技術は大体できていると思っているんです。課題は、センターの無人化構想にともに歩んでいただけるお客様との共同研究開発です。当社ヤード内をまるごと無人化された理想の仮設整備機器センターをつくることができればお客様の後押しにもなる。整備機械の自動化は既にやっていますので、その前後のフォークリフトでの運搬まで自動化できれば、かなり見えてくると思います。幸い大裕には遠隔自動化システム「XAURS」の技術があります。この強みを活かし、自動化・自律化の実現に向けて歩みを進めていきます。

大裕株式会社 代表取締役

飯田 浩二
人手不足という課題は、仮設業界にとって危機であると同時に、変革のチャンスでもある。大裕の「ものづくり」とワキタの「全国ネットワーク」——この二つが掛け合わされることで、単なる製品販売を超えた課題解決型のビジネスが動き出している。AIによる自動検収、鉄板修正の自動化、そしてセンターの無人化。描く未来は壮大だが、要素技術は既に揃いつつある。「全国の仮設業界のお客様の会を立ち上げ、情報交換できるプラットフォームを作りたい」と阿部は語る。売るだけではない、商社ならではの付加価値を。それがワキタと大裕が目指す姿だ。